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岩美町で一本一本手作りされるクラフトビール・IWAMI BLUE BEER

鳥取県岩美郡岩美町にあるクラフトビール醸造所「TEN FOWARD」さんに伺いました。「食中酒」として料理に合うことをコンセプトとしたビール「IWAMI BLUE BEER」を生産されている、おそらく日本で一番小さな醸造所です。

兵庫県からIターンされた御夫婦が二人で営んでおられます。ビール単体ではなく、相性のよい料理に合わせる「ペアリング」を意識したエールビールは岩美町を中心とした地元の素材を副原料として取り入れています。

クラフトビールってなに? ペアリングって? 鳥取市ではまだまだ馴染みのないビールの楽しみ方の先駆になりたいという、生産者さんのお話を伺いました。

TEN FORWARD「手作り」クラフトビールの小さな醸造所

出典 TEN FORWARD

TEN FORWARDは、岩美町の浦富海岸近くの住宅地にある古民家を改装したクラフトビール醸造所です。ほぼすべて手作りの作業場はシンク、醸造タンク置き場、熟成用の保存庫を全部合わせて3〜4畳程度の本当にコンパクトなスペースです。

一回の作業で生産できるビールは約200本、すべて手作業のため、量産が難しいのだそうです。このタンクの中に原材料となる麦芽の他に、岩美の棚田でできたお米、柚子などの副原料加えてビールを作ります。

副原料とは、ビールそのものの特徴を出すために加えられるもので、例えばお米ならアルコールを作り出すために「糖化」という作業の初期段階から、柚子なら香りを消さないために煮沸作業の終わりごろなど、配合するタイミングが変わるのだそうです。

クラフトビールを作る手順は様々で、各地の醸造所ごとに細かな違いがあるとのこと。TEN FOWARD製のビールは鳥取県東部の道の駅、サンマート、通販などで購入できます。2024年10月鳥取県で開催されたねんりんピック2024の会場など、イベントブースとしても出店されています。

ねんりんピック2024についてはこちらを参考にしてください。

料理との組み合わせ「ペアリング」とは

出典 TEN FORWARD インスタグラム

御夫婦ともにお酒、食事、旅行がお好きで、旅先では必ず地域のビールや独特な料理が楽しめるお店を訪れる生産者さん。日本ではまだ馴染みの低いペアリングというお酒の呑み方がお好みなのだそうです。

「ペアリング」とは、お酒と料理の相性を重視した食事の仕方で、ワインの場合はマリアージュとも呼ばれます。ビールだけでも美味しいけれど、食事をしながら呑むことでお互いの味を活かし合い、双方をより美味しくいただくことができる手法です。副原料を工夫することで、様々な料理にマッチするビールの製造が可能だとのこと。

IWAMI BLUE BEER では、料理に使われる調味料や付け合せとして用いられる果物をヒントに副原料を選び、常時3種類、季節限定4種類を合わせて計7種類のエールビールを生産しています。

IWAMI BLUE BEERの7銘柄

出典 TEN FOWARD

常時生産されている3銘柄です。

  • 棚田米エール
  • ベルジャンホワイトワイルド柚子
  • サクラIPA

季節ごとに限定生産される4銘柄はこちら。

  • 春 夏みかんGOLD ALE
  • 夏 ブルーベリーサワーエール
  • 秋 鳥取梨ヴァイツェン
  • 冬 辨天娘酒粕ホワイト

棚田米エール

岩美町の棚田で穫れたお米と麦芽を発酵させて作られたエールビールです。クラフトビールの入門編として、日本食、日本の一般的な家庭料理に合うことを意識して調合されています。お米を使った料理、お米といっしょに食べる料理ならどんなものでも相性がいいため、お寿司といっしょに呑むのがおすすめです。

ベルシャンホワイトワイルド柚子

生牡蠣を食べるときにレモンを絞るように、魚介に合うことを意識して作られたビールです。カレーにも使われるスパイスのコリアンダーも配合されているため、魚が持つちょっとした臭みとの相克性があります。ベルシャンホワイトというビールは本来オレンジが利用されますが、こちら日本風になるよう柚子が選ばれています。

サクラIPA

麦芽を桜チップでスモークし、風味を加えつつ、通常のエールビールよりも麦芽のとホップを多く使用したビールです。アルコール度数も高く、苦みが強いのが特徴です。ガツンとした食べごたえのあるジビエ、肉料理にぴったりなビールです。

夏みかんゴールデンエール

春の収穫される福部町の無農薬夏みかんジュースが加わっているため、適度な苦みとあっさりした果実味を併せ持ったビールです。こちらは春に旬を迎える食材との相性がよく、例えば山菜の天ぷらなどに添えても。女性にもおすすめです。

ブルーベリーサワーエール

夏の食材と相性がいいブルベリーを副原料に使ったビールです。甘酸っぱさが特徴的なため、ビールフロートと言ってアイスクリームを浮かべて呑むのがおすすめ。バーベキューのお供にするのにもぴったりです。

鳥取梨ヴァイツェン

鳥取名産松葉ガニに合わせる目的で作られたビールです。柑橘類の例と同じで、果物全般が魚介類との好相性を持ちます。特に鳥取県の梨は果汁豊富で糖度が高いことから、非常にフルーティーな仕上がりになってており、カニ肉がもつほのかな甘みにマッチします。

辨天娘酒粕ホワイト

若桜町の銘酒「辨天娘」を作った後の酒粕を副原料として、煮沸時に加えています。ゆっくり時間をかけて味わうことで、温度が室温に近くなることで日本酒のようなまろみが現れる、独特な呑み口となっています。

「ちょっと立ち止まって」豊かな時間を過ごしたい

醸造所と同じ建物を利用して、1日1組限定ゲストハウス「TEN」も運営されています。「テン・フォワード」という独特の社名は、1960年代より人気を博したアメリカのSFドラマ「スター・トレック」に登場する宇宙船エンタープライズ内のバーから取られたのだそうです。

「フォワード」という言葉は前方、前進などの意味がありますが、ゲストハウスではあえて少し立ち止まってゆったりしてほしい、という願いから「TEN」と命名されました。

エンタープライズ号のテン・フォワードバーは、様々な国、文化、あるいは星、民族出身の人たちが集まり、それぞれの好きな飲物を楽しみ忌憚なく話し合える場所です。こちらのゲストハウスも、岩美町で誰もが集まれる拠点のひとつになることを目指しています。

TEN FORWARDの思い

クラフトビールの明確な定義はまだ日本にはありません。だからこそ、クラフトビールを飲んだことのない方でも親しみやすいビールを作りたい。また、「飲み干す」のではなく食事の一品としてじっくりと時間をかけて楽しむペアリングという文化も知ってほしい。IWAMI BLUE BEERの7銘柄はそうした思いで開発されました。

しかし、すべて手作業で行っていること、小さな小さなタンクで製造すること、煮沸の際に10%ほど容積が減ってしまうことなどから量産は非常に難しくなっています。

でも、あえてそれをマイナスだと捉えない。なぜなら他にも美味しいクラフトビールはあるし、大好きになるビールは人それぞれ違う。IWAMI BLUE BEERをきっかけに、他の地域のクラフトビールを探したり、自分なりにしっくり来る料理との組み合わせを探してほしい。

また、観光地としての岩美町だけでなく地元の人に地元のいいところ、良いものを知ってもらうための場所として醸造所とゲストハウスを運営すること。それがTEN FOWARDとしてこれから目指したいの目標とのことでした。

店名TEN FOWARD
住所鳥取県岩郡岩美町浦富2465-1
営業時間LINE、問い合わフォームから随時受け付け
定休日不定休
駐車場不明
関連サイトTEN FOWARD
#グルメ #PR

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