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【鳥取市上町】“出世観音”とも呼ばれる縁起のよい仏像を祀る鳥取市の古刹と日本庭園・観音院庭園
鳥取市上町にある有名な日本庭園をもつお寺「観音院」に伺いました。
境内の「観音院庭園」は、江戸時代初期に作られた日本庭園で、京都風の池泉鑑賞式庭園と呼ばれる様式です。
お寺に安置されている観音菩薩像は、何度か安置場所が変わり、その度にお寺の規模が大きくなっていったため「出世観音」とも呼ばれる縁起のよい仏様です。
国の名勝にも指定されているお庭について紹介しましょう。
観音院庭園・山門

境内につづく山門への上り坂です。伺ったのは冬でしたが、参道の両脇には桜の木が植えられています。花が咲くころには、お花見の名所としても鑑賞できます。

新年から間もなかったからでしょうか、普段はない紫色の「寺院幕」がかけられていました。鳥取藩池田家のアゲハチョウの家紋と、徳川家の葵の御紋が入った非常に格調の高いものです。
池田家は代々徳川家との深いつながりを保ってきた歴史があり、その他の藩とは一線を画す存在だったことがうかがえます。

こちらは「山号額」と呼ばれる、お寺が属する山の名前を書いた額です。「ふだらくさん」と読みます。観音菩薩が降り立つと言われた伝説上の山で、一種の極楽浄土と考えられています。
もともと中国では寺院は山の中に作られるのが一般でした。その名残と、日本独自の山岳信仰が結びついてできた習慣のようです。
観音院庭園・景観

背後に存在する山の裾野をお庭と地続きに見えるように作られた、観音院庭園の全景です。「借景」という日本庭園独特の形式ですね。
岸から池へ、池から斜面へ、斜面から山へ、そして空へと、人工的な造形と自然の景観が一切の不自然さもなく溶け合っている様は見事です。
本来は本堂のお座敷に座って鑑賞することができるのですが、このときは改修工事中のため、回り縁のみ立ち入りが可能でした。

池の中にある「亀島」という小島に注目してみると、雪と枯れた色をしている芝がいかにも「冬」という風情をかもします。

しかし、角度を買えてみると、常緑樹の生き生きとした緑が早くも春の気配を感じさせます。

同じお庭でも、観る場所を変えることで異なる季節が見えたり、別々の季節が一つに重なって見えたりします。日本らしい独特の美意識や、宇宙観が込められている、芸術的な価値も高いお庭です。
観音院庭園・茶室

本堂のとつながっている茶室です。こちらも中からお庭を拝観することができます。

茶室の中の様子です。「書院茶室」という武士の応接間の役割をしていた華やかな形式のなかに、より庶民的で素朴な「草庵茶室」の要素を取り入れた独特の間取りとなっています。
観音院庭園まとめ
鳥取市にある古刹観音院の日本庭園について紹介しました。本堂の聖観世音菩薩像は、江戸時代に久松山の岩窟から光を放つ状態で発見されたという不思議な伝承が残っています。
こうした由来もあって、鳥取藩の歴代の御殿様をはじめ、近隣の方たちに長い間大切に守られてきました。
鳥取大地震などの折、お庭が破損した際も丁寧に修復が行われています。そのため当時に近い状態の景観や建物などが保存されている貴重なお寺です。
参道の桜をはじめ、境内にはさまざまな花や木が植樹されており、初夏にはツツジを、夏は睡蓮を、秋には紅葉を楽しむことができます。
四季折々に違った風景が見られ、自然の移ろいにも触れられる名所です。ぜひ訪れてみてください。
| 住所 | 鳥取市上町162 |
| 拝観時間 | 9:00〜17:00 |