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【八頭郡智頭町】旧宿場町智頭宿を代表する国の重要文化財・石谷家住宅

鳥取県八頭郡智頭町の国指定重要文化財「石谷家住宅」に行ってきました。「石谷家住宅」は智頭町の大庄屋であり、林業を元に財を成した地域の有力者の邸宅です。もっとも古い棟は江戸時代に建てられたもので、大正から昭和にかけて現在の状態に改築されていきました。伝統的な日本家屋としても非常に価値の高い智頭宿の代名詞です。見どころを紹介します。
アクセス・駐車場について
石谷家住宅のすぐ近くに専用の駐車場はありません。国道53号線沿いの「智頭宿信号交差点」を左に進むと、石谷家住宅および智頭宿の観光駐車場があります。そこに車を止め、徒歩で観光地に向かってください。駐車場入口正面の小道に、石谷家住宅への道案内の看板が立っています。
矢印の指す方向に沿って細い道を進んでいくと、やがて旧宿場町の広い道に至ります。
石谷家住宅・入口
石谷家住宅の入口です。大きな門柱と門扉にまず圧倒されます。脇の看板に入館料金が書かれています。80歳以上の方や障がい者手帳を持っている方は無料のようです。
途中の街道にあった智頭宿の解説です。江戸時代に鳥取藩池田家のお殿様が参勤交代の際に逗留した宿を中心とした宿場町であり、また関西と山陽を結ぶ物流の要衝として栄えたようです。
石谷家住宅・内部
玄関を入ってすぐの大きな吹き抜けの土間です。壁の漆喰などもあまり補修されず当時のまま残されているようです。非常に保存状態がいいのですね。
屋内に備え付けのかまどです。特別な造りになっているらしく、薪を燃やしたときの煙がいったん地下に引き込まれたのち屋外に排出されていたそうです。
そのため、天井の梁に煤の汚れがほとんどついていません。
座敷と庭園
こちらは昭和のころに建てられて一家の主人が使った和室です。一階部分でもっとも格式の高い部屋となっています。違い棚を設けた書院造が特徴で、床柱も高級な杉の木材が使われています。新年や大切な行事の日に、家族がここに集まって当主にあいさつをしたそうです。
こちらは一階の別の和室です。
縁側から立派な庭園が見えました。かつては周り縁といって、縁側で部屋から部屋へ直接行き来できたようですが、2025年現在は一部が立ち入り禁止となっています。別室へは室内の廊下を使って移動してください。
また別の和室です。ハート型の格子窓がかわいらしいですね。これは「猪目文様」といって、魔除けの意味をもつ縁起ものです。
こちらの和室から庭園の別のアングルを見られます。奥の方に人工の小さな滝がありました。大きな石や樹木を配置するためには、相当な手間がかかったことでしょう。往時の勢力がしのばれます。
2階の様子
二階へ上がる階段です。階段は2カ所ありますが、いずれも傾斜が急なため、足元に気を付けて上ってください。
階段を上がると廊下から和室に入るための橋がかかっていました。家の中に橋があるなんて初めての体験です。
こちらは「山番」という仕事をする人たちが新年会を開くために使った和室です。「山番」とは森林を火災から守ったり、無断で樹木が伐採されないように山を見回っていた人たちのことをいいます。
入口の欄間です。大山と隠岐之島の様子があしらわれています。風景をうまく写した、見事な細工です。この欄間をはじめとして、邸宅全体の欄間の細工を施したのは「国米泰石」という腕利きの仏師で、現在近隣のお寺に墓所が保存されています。
蔵を利用した企画展
邸宅の他に白壁の土蔵もいくつか残されていました。現在は中が改装されて、企画展のために利用されています。2025年7月19日~8月7日にかけて、全国のご当地風鈴の展示が行われていました。地域ごとに陶器でできたもの、金属製のものやガラス製のものがありました。音色もさまざまで、扇風機の風で一斉に鳴り響く様子は非常にさわやかでした。
石谷家住宅まとめ
この記事では、八頭郡智頭町にある重要文化財「石谷家住宅」について紹介しました。江戸から昭和にかけての伝統的な日本家屋の特徴が多く残っていて、保存状態も良いことに驚きました。
部屋の目的や格式に合わせて天井や柱の造りも異なるようです。特に市松模様に組まれた天井は、2025年公開の映画「鬼滅の刃」に登場する建物によく似ていて、ファンも注目しているとのこと。作品の力で古い伝統家屋が見直されることが、伝統が次世代に受け継がれていくことの理想的な形なのかもしれません。興味のある方は、ぜひ訪れてみてください。
住所 | 鳥取県八頭郡智頭町智頭396 |
開館時間 | 10:00~17:00 |
休館日 | 水曜 |
関連リンク | 石谷家住宅公式HP |